「血圧の薬を飲んでいるけれど、インプラントなんて受けられるのだろうか」。そんな不安を抱えたまま、相談すらためらっている方は本当に多いです。診療室でも、問診票に持病をいくつも書き込みながら「こんな状態で手術なんて無理ですよね…」と肩を落とされる患者様によくお会いします。
結論からお伝えすると、高血圧や糖尿病といった全身疾患があるからといって、インプラントを諦める必要はありません。ただし、何の準備もなく進めてよいわけでもない。ここが大切なところです。きちんと全身の状態を把握し、内科の主治医と連携しながら計画を立てれば、持病をお持ちの方でも安全に治療を受けていただける可能性は十分にあります。
今日は、中目黒で歯科医院を営む立場から、全身疾患とインプラント治療の現実的な向き合い方についてお話しします。
高血圧とインプラント手術 ― リスクをどう管理するか
高血圧の方が一番気にされるのは、やはり手術中の出血や血圧の急上昇です。これはもっともな心配で、私たちも軽く見ることは絶対にありません。一般的に、収縮期血圧が160mmHgを超えるような状態でのコントロール不良な高血圧では、待機的な外科処置は延期を検討します。逆に言えば、内服でしっかりコントロールできている方であれば、過度に恐れる必要はないのです。
実際の診療現場では、手術当日の朝に必ず降圧薬を内服していただき、来院後にも血圧を測定します。緊張で一時的に数値が上がる「白衣高血圧」の方も少なくないため、ゆっくり安静にしていただいてから判断することも多いです。痛みや不安が血圧を押し上げる要因になるので、麻酔をしっかり効かせ、なるべくストレスの少ない短時間の手術を心がけます。
私自身、降圧薬を数種類服用されている患者様のインプラントを数多く担当してきましたが、事前の準備と当日のモニタリングを丁寧に行えば、トラブルなく終えられるケースがほとんどです。大切なのは「持病があるから無理」と決めつけるのではなく、「どうすれば安全にできるか」を一緒に考える姿勢だと思っています。
糖尿病・骨粗鬆症など ― 持病ごとに変わる注意点
全身疾患と一口に言っても、その種類によって配慮すべきポイントはまったく異なります。糖尿病の場合、血糖コントロールが不良だと感染しやすく、傷の治りも遅れます。目安としてHbA1cが7%前後にコントロールされていれば、インプラント治療の予後は良好という報告が多く、主治医と数値を共有しながら進めます。コントロールが乱れている時期は無理をせず、まず内科治療を優先していただくこともあります。
骨粗鬆症の治療で使われるビスフォスフォネート製剤や、その類縁薬を服用されている方は、顎骨壊死のリスクという観点から特に慎重な判断が必要です。お薬の種類、服用期間、投与経路(飲み薬か注射か)によってリスクが変わるため、必ずお薬手帳を持参していただき、必要に応じて処方医と連絡を取り合います。
抗血栓薬(血をサラサラにする薬)を飲まれている方も多いですが、近年は自己判断で休薬すると脳梗塞や心筋梗塞のリスクが上がるため、安易に中止しないのが原則です。多くの場合、服薬を継続したまま局所的な止血処置で対応できます。こうした判断こそ、歯学博士として全身の病態を理解したうえで行うべき領域だと考えています。
骨が少ない、骨造成が怖い ― バイコンインプラントという選択肢
持病をお持ちの方ほど「できれば体への負担を減らしたい」「大きな手術は避けたい」と願われます。骨が痩せている場合、通常は骨を増やす骨造成という追加手術が必要になりますが、これは身体的負担も期間も増える処置です。ここで当院が採用しているバイコンインプラント(Bicon Dental Implants)が力を発揮します。
バイコンはショートインプラントのパイオニアとして40年以上の歴史を持ち、短く太い形状によって、骨が少ない部位でも骨造成を回避できる可能性が高まります。これは外科的な侵襲を最小限にしたい全身疾患の患者様にとって、非常に意味のあるメリットです。長期的な安定性についても、数多くの臨床論文がショートインプラントの良好な生存率を裏付けています。
構造上の特徴も見逃せません。バイコンはスクリュー(ネジ)を使わない1.5度ロッキングテーパー構造を採用しており、インプラント体と土台の接合部に隙間ができにくいため、バクテリアの侵入を防ぐバクテリアルシールが働きます。これにより、ネジのゆるみや接合部からの細菌感染といったトラブルが起こりにくい。免疫や治癒力が落ちやすい持病をお持ちの方にとって、この感染対策は大きな安心材料になります。さらに独自のプラトー(フィン)デザインが、ハバース管を持つ成熟した骨の形成を促し、強固な骨結合を実現します。
骨をつくる材料研究の進歩 ― 未来につながるエビデンス
骨が足りない、あるいは骨の代謝に問題を抱える方への治療は、世界中で研究が進められている分野です。たとえばステロイドの長期使用による大腿骨頭壊死のような骨の障害に対し、ポリリン酸カルシウム(CPP)を用いた多孔質の足場材料に関する研究が積み重ねられています。
2019年に報告された研究では、リチウムと血管内皮増殖因子(VEGF)を担持させたゼラチン微小球を含むポリリン酸カルシウム複合足場が、骨の再生と血管新生を促す可能性を示しました。また2015年の研究では、ストロンチウムをドープしたポリリン酸カルシウムと自家骨髄単核球を組み合わせることで、骨欠損の修復と骨頭の崩壊防止に相乗効果が得られたと報告されています。2013年にはウサギの大腿骨に多孔質ポリリン酸カルシウム構造を移植し、その骨代替材料としての有効性が検討されました。
これらは直接インプラントに使う材料の話ではありませんが、「弱った骨をいかに再生させ、安定させるか」という研究の最前線を映し出しています。骨粗鬆症やステロイド治療中の患者様を診るとき、こうした基礎研究の流れを知っているかどうかで、説明の深みも判断の精度も変わってくると私は感じています。
中目黒コヤス歯科の強み ― 全身を診る歯科という発想
当院では、インプラントを「歯だけの治療」とは捉えていません。院長である私は歯学博士として、口腔と全身のつながりを常に意識しながら診療にあたっています。高血圧、糖尿病、骨代謝の問題 ― これらはすべて口の中の状態と密接に関わっています。
さらに当院では栄養療法・分子整合医学の視点を取り入れ、傷の治りや骨の質を高めるための栄養状態にも目を向けます。タンパク質やビタミン、ミネラルの不足は治癒の遅れに直結します。手術をして終わりではなく、術後の回復をいかに支えるか。そこまで含めて考えるのが、当院の全身的アプローチです。
「中目黒で持病があってもインプラントを相談できる歯医者を探していた」という方に、私たちは丁寧に向き合います。まずはお薬手帳を持って、不安を率直にぶつけてください。できること、できないこと、別の選択肢を、正直にお伝えします。
よくある質問
降圧薬を飲んでいますが、手術当日も普段通り飲んでよいですか?
原則として、降圧薬は当日の朝も通常どおり内服していただきます。自己判断で中止すると、かえって手術中の血圧上昇を招く恐れがあります。詳しい服薬指示は事前のカウンセリングで個別にご案内し、必要に応じて内科の主治医とも連携します。
糖尿病があってもインプラントはできますか?
血糖コントロールが安定していれば、十分に治療は可能です。HbA1cの数値を一つの目安に、主治医と情報を共有しながら計画します。コントロールが乱れている時期は感染リスクが高まるため、まず内科治療を優先していただく場合があります。
骨が少ないと言われましたが、骨造成は必須ですか?
必ずしもそうではありません。当院ではショートインプラントであるバイコンを採用しており、骨が少ない部位でも骨造成を回避できる可能性があります。CT診断のうえで、なるべく身体への負担が少ない方法をご提案します。
まとめとご案内
高血圧や糖尿病、骨の問題といった全身疾患があっても、適切な準備と医科との連携があれば、インプラント治療を諦める必要はありません。大切なのは、持病を正しく評価したうえで、一人ひとりに合った安全な計画を立てることです。バイコンインプラントによる低侵襲な選択肢や、栄養面まで踏み込んだ全身的なサポートも、当院がご提供できる強みです。中目黒駅近くの当院では、持病を抱えた方のご相談を数多くお受けしてきました。「自分の場合はどうなのか」を知るところから始めましょう。まずはお気軽にご相談ください。
中目黒コヤス歯科 院長 小安正洋




