2026.07.11インプラント

抜歯即時インプラントは何日で噛める?中目黒の歯科が語る即時荷重の真実

歯を抜かなければならない、と言われた瞬間、多くの方の頭に浮かぶのは「じゃあ、その間ごはんはどうすればいいの?」という切実な問いだと思います。仕事の会食、家族との食事、人前で話す機会。歯がない期間があること自体が、想像以上のストレスになりますよね。実際の診療現場でも、痛みそのものより「歯抜けの期間をどう乗り切るか」を一番心配される患者様を、私はこれまで数えきれないほど診てきました。

そこで注目されているのが、抜歯と同時にインプラントを埋め込む「抜歯即時インプラント」、そしてその日のうちに仮歯を装着する「即時荷重」です。ただ、ネット上の情報は「当日から噛める」といった威勢のいい表現が独り歩きしていて、正直なところ危うさを感じることもあります。ここでは中目黒で日々インプラント治療に向き合う立場から、実際のところ何日で噛めるようになるのか、その医学的な裏付けとともに正直にお話しします。

抜歯即時と即時荷重は別物です

まず混同されがちな言葉を整理させてください。「抜歯即時埋入」とは、グラグラの歯や割れてしまった歯を抜いたその穴に、待たずにインプラント体を埋め込む方法です。通常なら抜歯後に骨が治るのを数ヶ月待ってから埋入しますが、その待機期間を省けるのが最大の利点になります。

一方で「即時荷重」は、埋め込んだインプラントにその日のうち(あるいは数日以内)に仮歯を装着し、噛む機能を回復させることを指します。この二つは同時に行われることも多いのですが、必ずセットになるわけではありません。抜歯即時埋入をしても、状況によっては仮歯を待つ判断をすることもあります。

ここが非常に大切なところで、「何日で噛めるか」は骨の状態や噛む力、インプラントの初期固定の強さによって一人ひとり異なります。誰にでも当日噛ませるのが良い治療ではありません。私自身、初期固定が甘いと判断した場合は、無理をせず数週間待つ選択をお伝えすることも珍しくありません。

結局、何日で噛めるようになるのか

目安をお伝えすると、即時荷重が適応できるケースでは、抜歯・埋入した当日から翌日には仮歯で軽く噛める状態になります。ただしこれは「柔らかいものを、そっと」というレベルの話です。硬いおせんべいやステーキを本格的に噛めるようになるのは、インプラントと骨がしっかり結合する期間を経てからになります。

この骨結合(オッセオインテグレーション)には、下顎でおよそ2〜3ヶ月、骨がやわらかい上顎では3〜4ヶ月ほどかかるのが一般的です。つまり「仮歯で見た目と最低限の機能はすぐ回復するが、本当の意味でしっかり噛めるのは数ヶ月後」というのが誠実な答えになります。当日から何でも噛める、というのは医学的には言い過ぎだと私は考えています。

即時荷重が成功するかどうかの鍵は、埋入直後の「初期固定」がどれだけ強く得られるかにあります。埋めた瞬間に骨がインプラントをがっちり掴んでくれる状態でなければ、早期に噛む力を加えるのは危険です。この見極めこそが、術者の経験と設計思想が問われる場面だと感じています。

当院が採用するバイコンインプラントの強み

中目黒コヤス歯科では、アメリカ発祥のバイコンインプラント(Bicon Dental Implants)を採用しています。このインプラントは、一般的なネジ式(スクリュー)とは根本的に構造が異なるのが特徴です。

まず特筆すべきは1.5度ロッキングテーパー構造です。土台とかぶせ物の接続部にネジを使わず、精密なテーパー(傾斜)による摩擦だけで一体化させます。これによって接続部の隙間が極めて小さくなり、細菌の侵入を防ぐ「バクテリアルシール」が形成されます。ネジのゆるみや、ネジ穴からの細菌侵入によるインプラント周囲炎のリスクを構造的に抑えられる点は、長期的に使ううえで大きな安心材料です。臨床の現場で「せっかく入れたインプラントが炎症で駄目になった」というトラブルを見てきた私にとって、この設計思想は非常に理にかなっています。

もう一つが独自のプラトー(フィン)デザインです。表面がヒレ状になっており、その隙間に新しい骨が三次元的に入り込んで成長します。学術的にも、この形状はネジ式の単純な接触とは異なり、天然の骨に近いハバース管(Haversian canal)を持つ成熟した骨の形成を促すことが報告されています。骨がやせ細るのではなく、しっかり作られていくイメージです。

さらにバイコンはショートインプラントのパイオニアとしての長い歴史を持ちます。短くても強固に骨と結合できるため、従来なら「骨が足りないので大がかりな骨造成が必要」とされていたケースでも、骨を足す手術を避けられる可能性があります。これは体への負担を減らし、治療期間を短縮するうえで抜歯即時とも相性が良い特性です。数多くの長期臨床論文がその安定性を裏付けている点も、私が信頼を置いている理由です。

骨と再生医療をめぐる研究の視点

インプラントが長く安定するかどうかは、結局「周りの骨がどれだけ健康に育つか」に尽きます。この骨再生の分野では、リン酸カルシウム系の材料に関する研究が世界中で進んでいます。

たとえば、多孔質のポリリン酸カルシウム(CPP)構造をウサギの大腿骨に移植した2013年の研究では、材料の内部構造や積層方向によって骨との馴染み方が変わることが示されました。骨の再生には、材料そのものの性質だけでなく「どんな形・空隙を持たせるか」が重要だという知見です。バイコンのプラトーデザインが骨を招き入れる発想とも通じるものがあります。

また2015年、2019年に報告されたストロンチウムやリチウム、血管内皮増殖因子(VEGF)を組み合わせた足場材料の研究では、骨の欠損部に対して細胞や成長因子を届けることで、骨の再生と血流の回復が促されることが示されています。これらは大腿骨の研究ですが、「骨を単に埋めるのではなく、生きた骨として再生させる」という考え方は、歯科インプラントを支える骨づくりにも応用が期待される領域です。私はこうした基礎研究の流れを追いながら、目の前の患者様の骨の質を大切にした治療を心がけています。

中目黒コヤス歯科ならではの全身的アプローチ

当院の院長である私は歯学博士として、歯そのものだけでなく、その土台となる骨や全身の状態にまで目を向けた診療を行っています。インプラントの成否は、口の中の技術だけで決まるものではないと考えているからです。

とりわけ、抜歯即時や即時荷重のように骨の再生スピードが結果を左右する治療では、患者様の栄養状態が想像以上に影響します。骨やコラーゲンの材料となるタンパク質、ビタミンD、ミネラルが不足していれば、いくら精密に埋入しても治りは鈍くなります。そこで当院では栄養療法・分子整合医学の視点を取り入れ、必要に応じて食事や栄養の面からもサポートしています。

「中目黒 歯医者」「中目黒 歯科」で相談先をお探しの方には、こうした全身を診る姿勢を知っていただきたいと思っています。バイコンインプラントという構造的に優れた選択肢と、骨を育てるための全身的な視点。この二つを掛け合わせることが、10年20年と使い続けられるインプラントにつながると信じています。

よくある質問

抜歯即時インプラントは誰でも受けられますか?

残念ながら全員に適応できるわけではありません。抜歯した部分に重い感染や膿がある場合、骨が大きく失われている場合、あるいは初期固定が十分に得られない場合には、無理をせず段階的な治療をおすすめすることがあります。まずは精密な検査で骨の状態を確認したうえで判断します。

即時荷重の仮歯で、当日から硬いものを噛んでもいいですか?

おすすめできません。当日装着する仮歯は、あくまで見た目と最低限の機能を回復し、骨結合を邪魔しないためのものです。硬いものや粘着性のあるものは、骨がしっかり結合する数ヶ月間は控えていただき、やわらかい食事から慎重に進めていただきます。

バイコンインプラントは治療期間が長くなりませんか?

骨結合を待つ期間は必要ですが、ショートインプラントの活用で骨造成を避けられれば、結果的にトータルの治療期間や負担を抑えられるケースが多くあります。個々の状態によって変わりますので、カウンセリングで具体的な見通しをお伝えしています。

まとめとご相談のご案内

「何日で噛めるか」への正直な答えは、即時荷重が適応できれば当日〜翌日に仮歯で軽く噛め、本格的に噛めるのは骨結合が進む数ヶ月後、ということになります。当日から何でも噛めるという甘い言葉ではなく、あなたの骨と体に合った現実的な道筋を一緒に考えることが、後悔しないインプラント治療の第一歩です。中目黒駅近くの当院では、精密検査に基づいて抜歯即時や即時荷重の適応を丁寧に見極め、バイコンインプラントと全身的な視点でサポートしています。歯を抜くことへの不安や、噛めない期間へのお悩みがある方は、どうぞお気軽にご相談ください。

中目黒コヤス歯科 院長 小安正洋

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