2026.07.26インプラント

高血圧でもインプラント手術は可能?中目黒の歯科医が正直に解説

「血圧の薬を飲んでいるけれど、インプラント手術なんて受けて大丈夫なのだろうか」。カウンセリングでこう切り出される患者様は、本当に多いです。歯を失って噛みにくい、見た目も気になる、でも持病を思うと一歩を踏み出せない。そのお気持ち、痛いほどわかります。実際の診療現場では、40代後半から60代にかけて高血圧を指摘されている方が、インプラントを検討して当院に相談にいらっしゃるケースが圧倒的に多いのです。

結論から先にお伝えすると、高血圧があるからといってインプラントを諦める必要はありません。ただし、条件があります。血圧が適切にコントロールされていること、そして全身状態を見ながら慎重に手術計画を立てること。この二つが揃えば、多くの方が安全に治療を受けられます。中目黒で歯医者を探している高血圧の方に向けて、私の臨床経験をもとに、少し踏み込んだ話をしていきます。

高血圧の人がインプラント手術で気をつけるべきこと

インプラント手術は外科処置です。歯ぐきを切開し、顎の骨に人工歯根を埋め込む。この過程で、体は少なからず緊張状態に置かれます。緊張すれば血圧は上がります。もともと血圧が高い方の場合、手術中に急激に数値が跳ね上がると、まれに脳や心臓に負担がかかることがあるのです。だからこそ、事前の血圧管理が何よりも大切になります。

一般的な目安として、収縮期血圧が180mmHg以上、あるいは拡張期血圧が110mmHg以上の状態では、その日の手術は延期すべきと考えています。逆に、内科でお薬を飲みながら140/90mmHg前後にコントロールできている方であれば、リスクを管理しながら十分に手術は可能です。私自身、内科の主治医と連携を取りながら治療を進めるケースを数多く経験してきました。診療情報提供書のやりとりは、遠回りに見えて実は最短の安全ルートなのです。

もう一つ見落とされがちなのが、局所麻酔に含まれる血管収縮薬(エピネフリン)の存在です。これは麻酔を長持ちさせ出血を抑える優れた成分ですが、血圧や心拍数をわずかに上げる作用があります。高血圧の方には、この含有量を調整した麻酔薬を選んだり、使用量そのものを最小限に抑えたりと、細かな配慮を積み重ねます。こうした一つひとつの判断が、安心につながっていくと考えています。

手術前の相談で必ず確認していること

初めてご相談にいらした際、私はまず服用中のお薬をすべて教えていただきます。降圧薬の種類はもちろん、血液をサラサラにする抗凝固薬・抗血小板薬を併用されている方も少なくありません。これらは出血のコントロールに直結するため、内科の主治医と相談のうえ、休薬すべきか継続すべきかを慎重に判断します。自己判断でお薬を止めてしまう方がいらっしゃいますが、これは絶対に避けてください。かえって危険なことがあります。

次に、血圧の「日内変動」や普段の数値の傾向をうかがいます。診察室で測ると緊張して高く出る、いわゆる白衣性高血圧の方も多いものです。ご自宅での測定値を記録して持ってきていただくと、本当の状態が見えてきます。手術当日も、開始前・術中・術後と血圧を継続的にモニタリングし、少しでも異常があればすぐに対応できる体制を整えています。

そして、糖尿病や骨粗鬆症の有無、喫煙習慣なども併せて確認します。高血圧単独よりも、複数のリスクが重なったときにこそ慎重さが求められるからです。相談の場では、こうした情報をもとに「今のあなたにとって、いつ、どんな方法で治療するのが一番安全か」を一緒に考えていきます。焦って進めることは決してしません。

体への負担を抑えるバイコンインプラントという選択

当院ではバイコンインプラント(Bicon Dental Implants)を採用しています。これは高血圧など全身に不安を抱える方にとって、実は大きな意味を持つ選択なのです。理由をお話しします。

バイコンの最大の特徴は、スクリュー(ネジ)を使わない1.5度ロッキングテーパー構造にあります。人工歯根と上部構造をテーパー(円錐)の摩擦力でしっかり固定するため、部品の隙間から細菌が侵入しにくい「バクテリアルシール」が形成されます。ネジのゆるみや、その隙間から起こる炎症トラブルを避けやすい。手術後の合併症リスクを一つでも減らせることは、持病のある方には特に大きな利点です。

さらに注目したいのが、独自のプラトー(フィン)デザインです。この構造は骨との接触面で、天然の骨が持つハバース管(Haversian canal)を含む成熟した骨組織の形成を促すことが報告されています。つまり、より生体に近い形で強固な骨結合が得られるということ。加えてバイコンはショートインプラントのパイオニアとして長い歴史を持ち、数多くの臨床論文がその長期的な安定性を裏づけています。骨が薄い方でも、大がかりな骨造成(骨を増やす追加手術)を回避できるケースが多いのです。外科的な侵襲が小さくなれば、それだけ手術時間も短く、血圧への負担も抑えられます。高血圧の方にとって、これは見逃せないポイントだと私は考えています。

骨と再生医療をめぐる最新の知見

インプラントの成否は、埋め込む顎の骨の質と量に大きく左右されます。この「骨の再生」という分野では、近年さまざまな生体材料の研究が進んでいます。たとえば多孔質のポリリン酸カルシウム(CPP)を用いた足場材料は、骨の欠損部を効率よく修復する可能性が2013年のウサギを用いた研究で示されています。骨の中に適切な空隙構造を持たせることで、新しい骨が入り込みやすくなるという知見です。

また2015年の研究では、ストロンチウムを加えたポリリン酸カルシウムと自家骨髄細胞を組み合わせることで、骨の修復が相乗的に促進されたと報告されています。2019年にはさらに、血管新生を促すVEGF(血管内皮増殖因子)を含ませた足場材料が、骨壊死の治療に有効性を示すという成果も出てきました。血管が育つことは、骨が育つための土台。この視点は、口腔内の骨再生を考えるうえでも通じるものがあります。

もちろん、これらはまだ研究段階のものも含まれ、すべてがそのまま歯科臨床に応用できるわけではありません。ただ、こうした基礎研究の積み重ねが、将来のより安全で確実なインプラント治療を支えていくのです。私が常に最新の文献に目を通し続けているのは、目の前の患者様に最善を尽くしたいからにほかなりません。

中目黒コヤス歯科の全身を診るアプローチ

当院が高血圧をはじめとする持病のある方から選ばれている理由は、単に技術があるからではありません。院長である私が歯学博士として、口の中だけでなく全身の健康と結びつけて診療する姿勢を大切にしているからです。歯は独立した器官ではなく、全身とつながっています。血圧、血糖、栄養状態。これらすべてがインプラントの予後に影響します。

特に力を入れているのが、栄養療法・分子整合医学の視点を取り入れた全身的アプローチです。高血圧や生活習慣病の背景には、食生活や栄養バランスの乱れが隠れていることが少なくありません。手術の成功だけをゴールにせず、その後も長く健康な口元を保っていただくために、必要に応じて食事や栄養についてのアドバイスもお伝えしています。骨の再生や傷の治りにも、栄養状態は深く関わっているのです。

中目黒で歯医者やインプラントを検討されている方の中には、大きな病院に行くべきか町の歯科医院で相談すべきか迷われる方もいます。当院では、必要があれば医科と連携し、無理な場合は無理とはっきりお伝えします。安全でないと判断すれば、正直にそう申し上げます。それが長年臨床に携わってきた者としての責任だと思っています。

よくある質問

血圧の薬を飲んでいてもインプラント手術は受けられますか?

はい、多くの場合可能です。大切なのは、お薬でしっかり血圧がコントロールされていること。おおむね140/90mmHg前後に管理されていれば、リスクを見ながら手術を計画できます。まずはご相談いただき、内科の主治医とも連携しながら安全に進めていきます。自己判断でお薬を中断しないでください。

手術当日に血圧が高かったらどうなりますか?

収縮期血圧が180mmHgを超えるような場合は、その日の手術を延期します。無理に進めることはありません。手術前・術中・術後を通して血圧をモニタリングし、少しでも異常があればすぐ対応できる体制を整えていますので、安心してお任せください。

骨が少ないと言われましたが、高血圧でも手術できますか?

当院が採用するバイコンインプラントはショートインプラントに強みがあり、骨が少ない方でも大がかりな骨造成を避けられるケースが多くあります。追加の外科処置が減れば手術の負担も軽くなるため、高血圧の方にとってもメリットがあります。一度お口の状態を拝見させてください。

まとめとご案内

高血圧があってもインプラントは決して不可能な治療ではありません。血圧を適切に管理し、全身状態を見ながら慎重に計画を立て、体への負担が少ない方法を選ぶ。この積み重ねが、安全な治療への道をつくります。バイコンインプラントの低侵襲な特性と、全身を診る栄養療法の視点。これらを組み合わせることで、持病のある方にも安心していただける治療を目指しています。

中目黒駅近くの当院では、高血圧やそのほかの持病でインプラントをためらっている方のご相談を数多くお受けしています。「自分の場合はどうなのか」を知ることが、最初の一歩です。不安なまま抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。あなたにとって一番安全な道を、一緒に探していきましょう。

中目黒コヤス歯科 院長 小安正洋

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