2026.08.02予防歯科

縁下歯石(subgingival)の除去は痛い?通院回数を中目黒の歯科医が解説

歯ぐきの奥深く、歯周ポケットの中に隠れている歯石。いわゆる「縁下歯石(subgingival calculus)」を指摘されて、「除去のとき痛いんじゃないか」「何回も通うのは面倒だな」と身構えている方は、思いのほか多くいらっしゃいます。実際、当院にお越しになる患者様の中でも、この処置に対する不安を口にされる方は少なくありません。表面に見える歯石とは違って、目に見えない分だけ余計に怖く感じるのだと思います。

今日は、中目黒で歯医者をお探しの方に向けて、この縁下歯石の除去がどの程度痛むのか、そしてどのくらいの回数通う必要があるのかを、臨床の現場でお伝えしている内容そのままにお話しします。過度に不安を煽ることも、逆に「全然痛くないですよ」と根拠なく安心させることもせず、誠実にご説明します。

そもそも縁下歯石とは何か、なぜ厄介なのか

歯石には大きく分けて二種類あります。歯ぐきよりも上にできる「縁上歯石(supragingival)」と、歯周ポケットの内部、つまり歯ぐきに隠れた根の表面にこびりつく「縁下歯石(subgingival)」です。前者は白っぽくて比較的やわらかいのに対し、縁下歯石は黒っぽく、血液成分を含んで石のように硬く根面に固着しているのが特徴です。

この違いが、除去の難易度と処置回数に直結してきます。縁上歯石なら数分で取れることも珍しくありませんが、縁下歯石は歯ぐきの中に器具を差し込み、手探りに近い感覚で根面をなぞりながら除去していく必要があります。私自身、これまで数多くの重度歯周病の患者様を診てきましたが、根の形は一人ひとり違い、湾曲した根の裏側に頑固に付着した歯石を取り切るには、それなりの技術と時間を要します。

厄介なのは、この縁下歯石が歯周病菌の「住処」になってしまう点です。歯石の表面はザラザラしていて、そこに細菌がバイオフィルムという膜を張って定着します。放置すれば歯を支える骨が溶け、最終的には歯が抜けてしまう。だからこそ、多少手間がかかっても徹底的に除去する意味があるのです。

縁下歯石の除去は本当に痛いのか

結論から申し上げると、痛みの程度は「歯石がどれだけ深く、どれだけ多くあるか」と「炎症の強さ」によって大きく変わります。歯周ポケットが浅く炎症が軽い段階であれば、器具が触れる感覚はあっても、痛みらしい痛みを感じないまま終わる方が大半です。

一方で、ポケットが深く歯石が根の奥まで及んでいる場合や、歯ぐきが強く腫れて出血しやすい状態では、処置中に鈍い痛みやしみるような感覚が出やすくなります。こうしたケースでは、当院では無理をせず局所麻酔を併用して、患者様が痛みで身構えることなく処置を受けられるよう配慮しています。麻酔を使えば、深い部分の歯石もしっかり取り切ることができ、結果的に治療の質も上がります。

「痛いのを我慢して受ける」のと「快適に受けて確実に取り切る」のとでは、ゴールが全く違います。痛みが心配な方は、遠慮なくその旨をお伝えください。痛みのコントロールも、私たちの大切な仕事の一つです。

通院回数の目安と、なぜ複数回に分けるのか

縁下歯石の除去、専門的にはSRP(スケーリング・ルートプレーニング)と呼ばれる処置は、多くの場合、口の中をいくつかのブロックに分けて数回に分けて行います。軽度であれば1〜2回で済むこともありますが、中等度から重度の歯周病では4〜6回程度の通院が必要になることが一般的です。

「一度に全部やってほしい」というお声もよくいただきます。ただ、口全体を一気に処置すると、麻酔の範囲が広くなり、処置後の違和感や出血の負担も大きくなります。ブロックごとに丁寧に行うほうが、根面をより確実に滑らかに仕上げられ、歯ぐきの回復も追いやすいのです。数回に分ける理由には、こうした医学的な合理性があります。

また、初回の処置後には歯ぐきの反応を見る「再評価」の期間を設けます。歯ぐきが引き締まり、ポケットが浅くなれば良好。もし改善が乏しい部位があれば、追加の処置や、より専門的なアプローチを検討します。この段階的な流れこそが、歯周病治療を成功に導く王道です。

歯石に潜む細菌のメカニズムと最新の知見

なぜ歯石を取ることがそこまで大切なのか。その背景には、歯周病菌がどのように生き延びているかという細菌学的な事情があります。歯周病の主犯格の一つであるポルフィロモナス・ジンジバリス(P. gingivalis)は、歯石やその周囲でバイオフィルムを形成し、身を守りながら増殖します。

2002年に報告された研究では、この菌のバイオフィルム形成に「ポリリン酸キナーゼ(PPK)」という酵素が関与していることが示されました。実験でこの遺伝子を欠損させた菌株では、表面へのバイオフィルム形成が明らかに減少したのです。つまり、菌は特殊な仕組みを使ってしぶとく歯面に定着している。だからこそ、物理的にバイオフィルムと歯石を破壊・除去する処置が、治療の根幹になるわけです。

さらに1992年の研究では、歯磨剤に含まれるピロリン酸(PPi)が歯周病原菌の増殖を抑制すること、そしてドデシル硫酸ナトリウムとの組み合わせで相乗的に増殖を阻害することが報告されています。これは、専門的な歯石除去に加えて、日々のセルフケアで使う歯磨剤にも菌をコントロールする一定の役割があることを示唆しています。プロの処置とご家庭のケア、この両輪が揃って初めて歯周病は安定するのです。

中目黒コヤス歯科が大切にしている全身的なアプローチ

当院の院長は歯学博士であり、単に歯石を取るという処置にとどまらず、なぜ歯周病が進行しやすい体質になっているのかという「根本」に目を向けた診療を心がけています。歯周組織の修復には、コラーゲンの材料となるタンパク質やビタミンC、免疫を支える各種栄養素が欠かせません。ここに着目したのが、当院が取り入れている栄養療法・分子整合医学の視点です。

実際の診療でも、歯石をしっかり除去したのに歯ぐきの治りが遅い、出血が続くという方の背景に、栄養バランスの偏りや代謝の問題が隠れていることをよく経験します。歯という局所だけでなく、体全体の状態を見て初めて、安定した治療結果が得られると私は考えています。

また、歯周病で歯を失ってしまった場合の選択肢として、骨との結合に優れたバイコンインプラントを採用しています。中目黒駅近くという通いやすい立地で、痛みへの配慮から治療後の全身的なメンテナンスまで一貫してサポートできる体制を整えています。単発の処置ではなく、生涯にわたってお口の健康を守るパートナーでありたいというのが、私たちの想いです。

よくある質問

縁下歯石の除去後に歯がしみるのはなぜですか?

歯石を取ると、それまで歯石で覆われていた根の表面が露出するため、一時的に冷たいものがしみることがあります。多くは数日から数週間で歯ぐきが引き締まり、症状は落ち着いていきます。しみが強い場合は知覚過敏用の処置も行いますので、我慢せずお伝えください。

1回の処置でどのくらい時間がかかりますか?

ブロックごとに分けて行うため、1回あたりおおむね30〜60分程度が目安です。歯石の量や麻酔の有無によって前後します。お仕事帰りにも通いやすいよう、時間配分はご相談に応じています。

通院を途中でやめてしまうとどうなりますか?

深い部分の歯石が残ったままだと、歯ぐきの表面だけが治って内部で炎症がくすぶる「治ったように見える」状態になりかねません。これは歯周病を見えないところで進行させる原因になります。最後まで通い切ることが、結果的に歯を長持ちさせる近道です。

まとめとご相談のご案内

縁下歯石の除去は、痛みも通院回数も「その人の状態次第」というのが正直なところです。ただ、麻酔や段階的な処置で痛みは十分にコントロールできますし、通院の負担も計画的に進めればそれほど大きなものではありません。何より、目に見えない歯石を取り切ることが、歯を守るための確かな一歩になります。

中目黒駅近くの当院では、痛みへの配慮を重視しながら、細菌のメカニズムや全身の栄養状態まで見据えた歯周病治療を行っています。歯ぐきの奥の歯石が気になる方、他院で通院回数の多さに不安を感じた方も、まずはお気軽にご相談ください。あなたのお口の状態に合わせた、無理のない治療計画を一緒に考えます。

中目黒コヤス歯科 院長 小安正洋

アクセス



〒153-0051東京都目黒区上目黒3−1−14
モデリアブリュット中目黒1F
TEL:03-3794-0888
 
診療時間 日祝
10:00〜13:45 -
15:00〜19:00
※日曜・祝日は休診となります。※受付終了は診療時間終了の45分前となります。
★印の土曜日は10:00〜17:00の診療となり休み時間はありません。

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