2026.08.03インプラント

インプラントは一度に何本まで埋入できる?中目黒の歯科が本数の限界を解説

「上下の奥歯がほとんど残っていないのですが、これを一度の手術でまとめてインプラントにできませんか?」——こうしたご相談を、診療の現場では本当によく受けます。何度も麻酔をして、何度も通院するのは正直しんどい。仕事の都合で、そう何日も休めない。そういう事情を抱えた方が、藁にもすがる思いで質問されるわけです。結論から言うと、一度にかなりの本数を入れることは技術的には可能です。ただし「何本入れるか」よりも「あなたの骨と全身の状態に合っているか」のほうがはるかに大切だと、私は考えています。

そもそもインプラントは一度に何本まで埋入できるのか

まず知っておいていただきたいのは、明確な「上限本数」というものは決まっていない、ということです。理論上は、上下合わせて欠損している歯すべて、つまり片顎で8本前後、全顎で十数本を一度の手術で埋入することも不可能ではありません。実際、全歯欠損の方に対してオールオン系の治療を行う場合、片顎4〜6本のインプラントで全ての歯を支える設計をとることもあります。

ただ、ここで冷静に線を引かなければいけません。埋入できる本数の限界を決めるのは、術者の技術だけではないんです。骨の量、骨の質、血管や神経の走行、そして手術に耐えられるだけの全身状態。これらすべてが揃って初めて「何本まで安全にいけるか」が見えてきます。1本ずつ丁寧に埋入する場合と、10本まとめて入れる場合とでは、手術時間も出血量も体への負担もまったく違います。

私自身、これまで多くの症例を診てきましたが、「たくさん入れられますよ」と安易にお約束することはしません。むしろ、本数を欲張ったせいで初期固定が甘くなり、後々トラブルになるケースを避けることのほうを重視しています。一度に何本入れるかは、あくまで安全域の中で判断すべきテーマなのです。

本数を決める最大の壁は「骨の量」という現実

一度に埋入できる本数を左右する最も大きな要素、それは骨です。歯を失って時間が経つと、その部分の顎の骨は少しずつ痩せていきます。特に上顎の奥歯は、上顎洞という空洞が近くにあるため、垂直的な骨の高さが足りなくなりやすい部位です。この状態で無理に長いインプラントを入れようとすると、骨を増やす「骨造成」が必要になり、その本数分だけ手術は大がかりになります。

ここで当院が採用しているバイコンインプラント(Bicon Dental Implants)の話をさせてください。バイコンはショートインプラントのパイオニアとして長い歴史を持つシステムで、短くても十分な安定性を得られる設計が特徴です。通常なら骨造成が必要になるような骨の少ない部位でも、ショートインプラントを選択することで大がかりな骨移植を回避できる可能性があります。これは、一度に複数本入れたい方にとって、手術の負担を減らす大きな意味を持ちます。

なぜショートでも安定するのか。バイコンには独自のプラトー(フィン)デザインがあり、フィンとフィンの間に骨がしっかり入り込み、生理的なハバース管(Haversian canal)を持つ本物の骨が形成されることが知られています。つまり、ネジ山に骨が引っかかっているのではなく、骨そのものがインプラントを抱き込むように結合していく。この結合様式のおかげで、限られた骨の中でも複数本を計画的に配置できるわけです。

スクリューを使わない構造が「まとめて入れる」を支える理由

一度に多くのインプラントを入れると、当然ながらメンテナンスすべき箇所も増えます。ここで見落とされがちなのが、インプラントと被せ物の「継ぎ目」の問題です。一般的なインプラントはネジ(スクリュー)で上部構造を固定しますが、このネジの微細な隙間から細菌が入り込み、炎症や部品の緩みを起こすことが臨床上しばしば報告されてきました。本数が多ければ多いほど、そのリスク箇所も比例して増えていくわけです。

バイコンインプラントが優れているのは、この継ぎ目にスクリューを一切使わない点にあります。採用されているのは1.5度ロッキングテーパー構造という、精密なテーパー(円錐)のはめ込みによる接合方式です。金属同士が冷間圧接に近い形で密着することで、バクテリアの侵入を防ぐバクテリアルシールが形成されます。これにより、ネジ由来の緩みや細菌漏洩といったトラブルを構造的に回避できるのです。

複数本をまとめて入れる方にこそ、この構造のメリットは効いてきます。数多くの臨床論文がバイコンの長期的な安定性を裏付けており、10年、20年という長いスパンでの成績が報告されています。一度に何本も入れるという判断は、その後何十年も付き合っていく前提での決断です。だからこそ、トラブルの芽を構造レベルで摘んでおけるシステムを選ぶ意味があると、私は考えています。

骨をつくる材料研究から見える「土台づくり」の進化

本数を多く入れたい方の中には、どうしても骨造成が避けられないケースもあります。そこで、骨を再生させる材料の研究がどこまで進んでいるかを少しお話しします。近年、ポリリン酸カルシウム(CPP)を用いた足場材料の研究が盛んに行われています。ある2013年の研究では、多孔質のCPP構造をウサギの大腿骨に移植し、骨の代替材料としての有効性が検証されました。多孔質、つまり微細な穴が空いた構造にすることで、そこに骨や血管が入り込みやすくなるという発想です。

さらに一歩進んだ研究もあります。2015年に報告された研究では、ストロンチウムを添加したポリリン酸カルシウムに自家骨髄由来の細胞を組み合わせることで、骨壊死モデルにおける骨の再生と崩壊防止に相乗効果が見られたとされています。2019年の研究では、血管を新しくつくる因子(VEGF)を含んだ足場材が、骨の再生を後押しする可能性が示されました。血管が育たなければ骨も育たない、という当たり前の原理を材料工学の側から支えようとしているわけです。

これらは直接インプラントに使う材料の話ではありませんが、「弱った骨をどう再生させるか」という研究の最前線を示しています。骨の量が足りないから諦める、という時代は少しずつ変わりつつある。とはいえ、まずは大がかりな骨造成を避けられるショートインプラントを検討し、その上で必要なケースにだけ骨の増強を組み合わせる。こうした引き算の発想が、患者様の負担を最小限にすると考えています。

中目黒コヤス歯科ならではの全身を診るインプラント

当院の院長である私は歯学博士として、インプラントを単なる「歯を入れる手術」とは捉えていません。一度に何本も埋入するような大きな治療ほど、術後の骨の治りや傷の回復には、その方の全身状態と栄養状態が深く関わってきます。ここに、当院が栄養療法・分子整合医学の視点を取り入れている理由があります。

たとえば、タンパク質やビタミンD、鉄などが不足していると、骨結合や傷の治癒が遅れることがあります。せっかくバイコンの優れた構造で骨結合を狙っても、その骨をつくる材料が体内に足りていなければ本領は発揮されません。当院では手術前から栄養面のコンディションを一緒に整えていくことで、複数本の同時埋入というチャレンジをより安全な方向へ導きます。

中目黒駅近くという通いやすい立地も、術後の経過を丁寧にフォローするうえで大切にしているポイントです。中目黒で歯科・インプラントをお探しの方にとって、何本入れられるかという疑問だけでなく、その先の長い人生まで見据えた相談相手でありたいと思っています。

よくある質問

一度に10本以上のインプラントを入れても体は大丈夫ですか?

全身状態と骨の条件が整っていれば可能なケースはあります。ただし手術時間や体への負担が増えるため、事前の全身評価が欠かせません。当院では無理に本数を追わず、安全域の中で計画を立てます。持病のある方は担当医との連携も含めて慎重に判断します。

骨が少ないと言われましたが、一度に複数本は諦めるしかないですか?

諦める必要はないことが多いです。当院採用のバイコンはショートインプラントに強く、骨造成を回避できる可能性があります。まずは精密な検査で骨の量と質を確認し、あなたに合った本数と方法をご提案します。

まとめて入れると、後々のトラブルも増えませんか?

本数が増えれば管理箇所は増えますが、バイコンはスクリューを使わないロッキングテーパー構造でバクテリアの侵入を防ぐため、ネジ由来のトラブルを構造的に減らせます。定期的なメンテナンスを続けていただければ、長期的な安定が期待できます。

まとめとご案内

一度に埋入できるインプラントの本数に絶対的な上限はありませんが、大切なのは数ではなく、あなたの骨と全身の状態に合った計画かどうかです。骨が少なくても骨造成を回避しやすいバイコンのショートインプラント、細菌の侵入を防ぐロッキングテーパー構造、そして栄養面まで含めた全身的なアプローチ。この三つを組み合わせることで、負担を抑えながら長く使えるインプラントを目指せます。中目黒駅近くの当院では、何本入れられるかというご相談から、その先の人生まで見据えた治療計画を一緒に考えます。まずはお気軽にご相談ください。

中目黒コヤス歯科 院長 小安正洋

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