2026.08.15予防歯科

歯周病と新型コロナ重症化の関係は?中目黒の歯科医が語る口内環境の重要性

コロナ禍で「口の中の細菌が肺炎を悪化させる」という話を耳にして、不安になった方は少なくないと思います。実際、当院にも「歯周病があると新型コロナで重症化しやすいって本当ですか?」というご質問をいただく機会が増えました。特に持病をお持ちの方や、歯茎からの出血を長年放置してきたという方ほど、その心配は切実です。

結論から先にお伝えすると、歯周病と全身疾患の関わりは医学的にも注目されている分野です。ただし、ネット上には根拠の曖昧な情報も混ざっています。今日は、長年臨床の現場で患者様の口内を診てきた立場から、できるだけ誠実に、そして冷静に整理してお話ししたいと思います。

なぜ歯周病がウイルス感染症の重症化と結びつくのか

歯周病というのは、単に「歯茎が腫れる病気」ではありません。歯周ポケットの中で慢性的な炎症が続き、そこで生まれた炎症性物質が血流に乗って全身をめぐる状態です。私自身、診療の中で重度の歯周病を抱える患者様を診ると、口の中だけの問題として捉えるべきではないと痛感します。

新型コロナウイルス感染症では、体内で過剰な炎症反応、いわゆるサイトカインストームが起きることが重症化の一因とされています。慢性的な歯周病による炎症がすでに体にくすぶっている状態だと、そこにウイルスによる炎症が上乗せされ、体の負担が大きくなる可能性が指摘されています。

また、歯周病菌が多い口内環境では、ウイルスが体内に侵入しやすくなる酵素が増えるという報告もあります。口の中は呼吸器の入り口です。ここが不衛生であるほど、細菌性の肺炎などのリスクも高まると考えられています。だからこそ、感染症が流行する時期ほど口内ケアの意味が増すのです。

誤嚥性肺炎と口内細菌、見過ごせないつながり

新型コロナに限らず、高齢の方で特に注意したいのが誤嚥性肺炎です。飲み込む力が弱くなると、唾液や食べ物と一緒に口の中の細菌が気管へと入り込みます。このとき歯周病菌が多ければ、肺の炎症を引き起こす引き金になりかねません。

実際の診療現場では、ご家族が「最近むせやすくなった」と付き添いで来られるケースをよく見ます。こうした方の口内を診ると、歯周ポケットが深く、プラークが大量に付着していることが少なくありません。呼吸器のトラブルと口の中の状態は、決して無関係ではないのです。

ここで大切なのは、日々のセルフケアと、歯科医院での専門的なクリーニングを両輪で行うことです。歯ブラシだけでは取り切れない歯石やバイオフィルムは、プロの手でなければ除去が難しい。感染症への備えという視点からも、定期的なメンテナンスの価値を改めて感じています。

歯磨剤の抗炎症成分は歯肉炎にどこまで効くのか

「良い歯磨き粉を使えば歯周病は防げますか?」というご質問もよく受けます。ここで一つ、興味深い研究をご紹介します。トリクロサンという成分を含む歯磨剤の抗歯肉炎効果を検証した2002年の臨床研究では、歯肉炎の重症度に幅のある被験者を対象に、6か月にわたってその変化が前向きに調べられました。

この研究が示すのは、成分の効果を語るには、もともとの歯肉炎の状態がどの程度だったかという「ベースライン」を丁寧に見る必要がある、という点です。つまり、同じ歯磨剤を使っても、軽度の方と重度の方では現れる効果が違ってくるのです。市販の製品を過信せず、ご自身の口内の状態を正しく把握することが先決だと私は考えています。

歯磨剤はあくまで補助的な道具です。炎症がすでに進んでいる場合、成分の力だけで元に戻すことは難しい。当院では、患者様一人ひとりの歯茎の状態を見極めたうえで、本当に必要なケアの方法をお伝えするようにしています。

口内の石灰化とミネラルバランスという視点

歯や骨の健康を考えるとき、私が重視しているのがミネラルの代謝です。2024年に発表されたリン酸およびピロリン酸代謝に関する総説によれば、骨や歯の正常な石灰化には、カルシウムやリン酸といったミネラルの十分な量と、過剰な石灰化を防ぐピロリン酸などの阻害物質のバランスが欠かせないとされています。

この「Pi/PPi比」と呼ばれる比率が崩れると、本来石灰化すべきでない場所に沈着が起きたり、逆に必要な石灰化が不足したりします。歯石も、ある意味では口内で起きる異所性の石灰化です。全身の代謝バランスが口内環境に影を落とすことを、この研究は改めて教えてくれます。

さらに、2010年の変形性関節症に関する研究では、ピロリン酸カルシウムなどの結晶沈着が関節の変性に関わる可能性が示唆されています。結晶やミネラルの沈着が体のあちこちで炎症の火種になりうる。口の中だけを見るのではなく、全身の栄養状態や代謝から健康を捉える。この視点が、感染症に負けない体づくりにもつながると考えています。

中目黒コヤス歯科が大切にしている全身的アプローチ

当院の院長である私は歯学博士として、口内を単独の臓器としてではなく、全身の一部として診ることを診療の柱に据えています。歯周病と感染症重症化の関わりが注目される今だからこそ、この視点の重要性を強く感じています。

栄養療法や分子整合医学の考え方を取り入れているのも、その一環です。ミネラルバランスや炎症のコントロールは、日々の食事や栄養状態と切り離せません。歯周病のケアと並行して、体の内側から炎症を抑える土台づくりをご提案できるのが、当院ならではの強みだと自負しています。

また、失った歯を補う治療ではバイコンインプラントを採用しています。中目黒で歯医者をお探しの方に、単に歯を治すだけでなく、その先の全身の健康まで見据えたご提案ができるよう努めています。中目黒 歯科の中でも、こうした包括的なアプローチをご提供している点が、多くの患者様に選ばれている理由です。

よくある質問

歯周病を治せば新型コロナで重症化しなくなりますか?

歯周病の治療だけで感染症の重症化を完全に防げるわけではありません。ただし、口内の慢性炎症を抑えることは全身の炎症負担を軽くする一助になると考えられています。ワクチンや基本的な感染対策と併せて、口内環境を整えておくことは意味のある備えです。

マスク生活で口の中の環境は悪くなりますか?

マスクを長時間つけていると口呼吸になりやすく、口内が乾燥して唾液の自浄作用が落ちる傾向があります。乾燥は歯周病菌が繁殖しやすい環境です。こまめな水分補給と、意識的な鼻呼吸を心がけていただくとよいでしょう。

歯周病があるかどうか自分で判断できますか?

歯磨きのときの出血、歯茎の腫れや口臭は初期のサインですが、自覚症状がないまま進行するのが歯周病の怖いところです。ご自身での判断には限界があるため、定期的に歯科医院で歯周ポケットの検査を受けることをおすすめします。

まとめとご案内

歯周病と新型コロナ重症化の関係は、慢性炎症や口内細菌という共通の土台でつながっています。過度に恐れる必要はありませんが、口の中を清潔に保つことは、感染症の時代における確かな自己防衛の一つです。そしてその先には、全身の健康という大きなテーマが広がっています。

中目黒駅近くの当院では、歯周病治療から栄養面のアドバイスまで、お一人おひとりの体全体を見据えたケアをご提供しています。「歯茎の出血が気になる」「感染症に負けない体づくりをしたい」といったお悩みがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。あなたの健康を、口元から一緒に支えていければと思います。

中目黒コヤス歯科 院長 小安正洋

関連記事

アクセス



〒153-0051東京都目黒区上目黒3−1−14
モデリアブリュット中目黒1F
TEL:03-3794-0888
 
診療時間 日祝
10:00〜13:45 -
15:00〜19:00
※日曜・祝日は休診となります。※受付終了は診療時間終了の45分前となります。
★印の土曜日は10:00〜17:00の診療となり休み時間はありません。

〒153-0051東京都目黒区上目黒3−1−14
モデリアブリュット中目黒1F
TEL:03-3794-0888
 
 
診療時間 日祝
10:00〜13:45 -
15:00〜19:00

※日曜・祝日は休診となります。
※受付終了は診療時間終了の45分前となります。
★印の土曜日は10:00〜17:00の診療となり休み時間はありません。