「骨が薄いのでインプラントは難しいですね」「まずは骨を作る手術(骨造成)が必要です」——他院でそう告げられて、当院にご相談にいらっしゃる方は本当に多いです。せっかく決心してインプラントの相談に行ったのに、大がかりな追加手術が必要だと知って足がすくんでしまう。そのお気持ち、痛いほどわかります。
でも、少し待ってください。骨が足りない=インプラントは無理、と諦めてしまうのは早いかもしれません。骨造成をせずに対応できるケースは、実際の現場では思っている以上に多いのです。今日は、そのあたりの実情を、少し専門的な話も交えながら正直にお話ししていきます。
「インプラントができない」と言われる本当の理由
そもそも、なぜ骨が足りないとインプラントが難しいと言われるのか。従来の一般的なインプラントは、ある程度の長さ(10mm前後)と直径を確保しないと、噛む力にしっかり耐えられないと考えられてきました。だから骨の高さや幅が不足していると、そのまま埋め込むことができず、「まず骨を増やしましょう」という話になるわけです。
特に上顎の奥歯は、上顎洞(副鼻腔の空洞)が近く、骨の高さが数ミリしかないというケースが珍しくありません。下顎の奥歯では、下歯槽神経という重要な神経が走っているため、深く埋め込めない。こうした解剖学的な制約が、「適応外」という判断につながっています。
ただ、私が現場で感じるのは、この判断がその医院で採用しているインプラントの種類や術式に大きく左右されるということです。つまり、A医院で「できない」と言われても、別のアプローチを持つ医院なら「できる」ことは十分にあり得ます。骨造成が唯一の解決策ではない、という視点を持っておいてほしいのです。
骨造成のメリットとデメリットを正直に
骨造成(GBRやサイナスリフトなど)は、確かに優れた技術です。骨が足りない部分に人工骨や自家骨を補填し、インプラントを支える土台を作る。適切に行えば長期的に安定した結果が得られます。決して否定するものではありません。
一方で、患者様の負担が増えるのも事実です。手術範囲が広がり、腫れや痛みが強く出ることがある。治癒までの期間が数ヶ月〜半年以上延びることもあります。費用も上乗せされます。そして、使用する骨補填材の性質によって、再生する骨の「質」に差が出ることも近年の研究で指摘されています。
たとえば2025年に発表されたヒツジを用いた研究では、リン酸カルシウム系の骨補填材にピロリン酸カルシウムを加えると、再生される骨の質や炎症反応に影響が出ることが報告されています。骨補填材は「入れれば同じように骨になる」という単純なものではなく、材料の組成が結果を左右する繊細な世界なのです。だからこそ、避けられるなら避けたい、と考える患者様のお気持ちはとても理にかなっていると私は思います。
骨造成を回避する鍵——ショートインプラントという選択
当院が採用しているのは、アメリカで長年の実績を持つバイコンインプラント(Bicon Dental Implants)です。このインプラントの大きな特徴のひとつが、ショートインプラントのパイオニアであること。短くても、そして直径が太めでも、しっかり機能するよう設計されているのです。
従来「長さがないと支えられない」とされてきた常識に対して、バイコンはプラトー(フィン)デザインという独自の形状で応えています。ネジ山ではなく、円盤状のヒレが幾重にも並んだ構造で、この隙間に骨が入り込むように成長していく。その結果、天然歯に近いハバース管(Haversian canal)を持つ成熟した骨が形成されることが、数多くの組織学的研究で示されています。単に骨とくっつくだけでなく、生きた骨としてインプラントを取り囲むイメージです。
この設計のおかげで、短いインプラントでも噛む力を効率よく骨全体へ分散できます。上顎洞や神経までの距離が限られている、いわゆる「骨造成が必要」と判断されがちなケースでも、骨造成を回避してインプラントを埋入できる可能性が広がるのです。骨と材料の結合という発想は、たとえば軟骨インプラントをポリリン酸カルシウム基材に固定する再生医療研究(2002年)でも共通して見られるテーマで、いかに生体組織と人工物を一体化させるかが治療成功の核心だとわかります。
ネジがないからこそのトラブル回避
バイコンインプラントのもうひとつの特徴が、スクリュー(ネジ)を使わない接続構造です。多くのインプラントは、人工歯根と土台(アバットメント)をネジで固定します。ところがこのネジ、長年使っているうちに緩んだり折れたりすることがある。そしてネジの微細な隙間から細菌が侵入し、内部で炎症を起こす原因になることも、臨床の現場では実際に見てきました。
バイコンは1.5度ロッキングテーパーという精密なはめ込み方式を採用しています。土台をわずかにテーパー(傾斜)のついた穴に差し込むと、金属同士が冷間溶着に近い形で密着し、極めて強固に固定される。ネジがないので緩みようがなく、隙間から細菌が入り込む余地もほとんどありません。このバクテリアルシール(細菌の封鎖)効果は、インプラント周囲炎という厄介なトラブルを予防するうえで非常に大きな意味を持ちます。
インプラントは入れて終わりではなく、その後10年、20年と付き合っていくものです。緩みやネジ折れ、細菌感染といった長期的なリスクをそもそも構造レベルで減らしておく。この考え方が、私がバイコンを選び続けている理由のひとつです。
中目黒コヤス歯科ならではの全身的アプローチ
当院の院長である私は歯学博士として、単に歯を入れるだけでなく、その治療が体全体にどう影響するかを常に考えています。中目黒で歯科・インプラントをお探しの方に知っておいていただきたいのは、インプラントの成功が「骨の状態」と「治癒力」に大きく左右されるということです。
ここで私が力を入れているのが、栄養療法・分子整合医学の視点です。骨をつくるにはカルシウムだけでなく、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質、そして適切な血流が欠かせません。実際、骨壊死の治療研究(2019年)でも、血管新生を促すVEGFという成長因子を組み込んだ足場材が骨の再生を後押しすることが報告されており、骨の健康には「血流」と「栄養」が決定的に重要だとわかります。栄養状態が整っている患者様ほど、術後の治りが良い——これは現場での実感でもあります。
他院で「骨が足りないから無理」「適応外です」と言われた方こそ、一度別の角度から診させてください。骨造成なしの選択肢、体の内側から治癒力を高めるサポート、そして構造的にトラブルの少ないバイコンインプラント。これらを組み合わせることで、道が開けるケースは少なくありません。
よくある質問
他院で骨造成が必要と言われましたが、本当に避けられますか?
すべてのケースで避けられるとは言えませんが、ショートインプラントを用いることで骨造成を回避できる可能性は十分にあります。まずはCT撮影で骨の高さ・幅・質を精密に評価し、そのうえで最適な方法をご提案します。骨造成が本当に必要なケースもありますので、そこは正直にお伝えします。
ショートインプラントは長く持ちますか?
短いから弱い、という誤解をされがちですが、バイコンのショートインプラントは長期の臨床論文でその安定性が繰り返し証明されています。プラトーデザインによる強固な骨結合が、噛む力を効率的に分散させるためです。むしろ、無理な骨造成をせずに済む分、トラブルが少ないこともあります。
喫煙者や持病があってもインプラントはできますか?
喫煙や糖尿病などは治癒に影響しますが、即座に不可能というわけではありません。当院では栄養状態や全身のコンディションも含めて総合的に判断し、リスクを下げる工夫をしたうえで治療計画を立てます。まずはご相談ください。
まとめとご相談のご案内
骨が足りないと言われても、それは「あなたの体」ではなく「その医院の術式」の問題であることが少なくありません。骨造成を回避できるショートインプラント、ネジを使わずトラブルを防ぐ1.5度ロッキングテーパー構造、そして栄養と血流から治癒力を底上げする全身的アプローチ。当院にはこうした引き出しがあります。
中目黒駅近くの当院では、他院で「インプラントは難しい」「適応外」と言われた方のセカンドオピニオンも数多くお受けしています。諦める前に、一度あなたのお口とCT画像をじっくり拝見させてください。まずはお気軽にご相談ください。
中目黒コヤス歯科 院長 小安正洋




