歯を何本も失ってしまい、「もうインプラントは無理かもしれない」「全部インプラントにしたら一体何本必要なの?」と不安を抱えて相談にいらっしゃる方は、本当に多くいらっしゃいます。総入れ歯を勧められたけれど、どうしても抵抗がある。かといってインプラントは費用も本数も見当がつかない。そんな迷いのなかで、答えを探している方に向けて、実際の診療で私がお話ししている内容を、できるだけ正直に書いていきます。
結論から言えば、全ての歯をインプラントにするからといって、歯の数と同じ本数を埋める必要はありません。ここが多くの方が誤解されているポイントです。上下すべての歯を失っていても、条件が整えば片顎4〜6本程度のインプラントで、固定式の歯を支えることが可能になります。まずはこの「本数の考え方」から丁寧にほどいていきましょう。
全顎インプラントは本当に「歯の数」だけ必要なのか
天然の歯は片側で通常14本、上下で28本(親知らずを除く)あります。これを聞くと、「全部インプラントにするなら20本以上も埋めるのか」と青ざめる方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。実際の全顎治療では、複数のインプラントで橋渡し(ブリッジ)構造の人工歯を支える設計が基本になります。
一般的な目安としては、上顎で6〜8本、下顎で4〜6本程度。骨がしっかり残っていて条件が良ければ、より少ない本数で機能させることも可能です。逆に、噛む力が強い方や骨の状態によっては本数を増やして負担を分散させる判断をします。診療の現場では「◯本と決まっている」わけではなく、その方の骨・噛み合わせ・全身状態を見て一人ひとり設計していくものだとご理解いただきたいのです。
ここで大切になるのが、少ない本数でしっかり支えるための「土台の質」です。当院で採用しているバイコンインプラントは、この点で独自の強みを持っています。次の項目で詳しくお話しします。
骨が少なくても諦めない ― バイコンのショートインプラント
長年歯を失ったまま過ごしていた方は、顎の骨が痩せてしまっているケースが非常に多いです。「骨が足りないからインプラントは無理」「大がかりな骨造成が必要」と他院で言われた、という声を私は数え切れないほど聞いてきました。ここで登場するのが、当院が採用しているバイコンインプラントです。
バイコンはショートインプラントのパイオニアとして長い歴史を持ちます。短くても十分な安定性を発揮できる設計のおかげで、骨が薄い部位でも骨造成を避けられる可能性が高まります。これは患者様の身体的な負担と治療期間、費用を大きく減らすことにつながります。数多くの臨床論文でショートインプラントの長期的な安定性が示されており、「短いから弱い」という古い常識はもう当てはまりません。
その安定性の秘密が、独自のプラトー(フィン)デザインです。ネジ山ではなくヒレ状の構造をしているため、骨がフィンとフィンの間に入り込んで成熟し、いわゆるハバース管(Haversian canal)を持つ本物の骨が形成されます。これは、生きた骨がインプラントをしっかり抱え込む状態です。骨代替材料の研究、たとえば多孔質ポリリン酸カルシウムを用いたin vivo研究(2013年)でも、多孔質構造への骨の内方成長が固定に有効であることが示されており、「骨が入り込む足場」の重要性は学術的にも裏付けられています。
スクリューを使わない構造がトラブルを減らす
多くのインプラントは、人工歯を支える土台とインプラント本体をネジ(スクリュー)で連結します。しかしこのネジ止め方式には、長年使ううちにネジが緩む、ネジ穴の隙間から細菌が侵入して炎症を起こす、といった弱点がつきまといます。実際に「他院で入れたインプラントのネジが緩んで困っている」というご相談は珍しくありません。
バイコンインプラントは、この問題を根本から回避しています。1.5度ロッキングテーパー構造という、極めて精密なテーパー(円錐)の摩擦によって土台を固定する方式を採用しているため、そもそもネジを使いません。ネジがなければ緩みません。そして接合部に隙間が生じないため、細菌の侵入を強力にブロックするバクテリアルシールが成立します。
細菌の侵入を防ぐという発想は、インプラント周囲の組織を健康に保つうえで欠かせません。歯肉の線維芽細胞がインプラント材料の表面にしっかり付着し、結合組織を作ることが良好な封鎖につながることは、多孔質構造上でのヒト歯肉線維芽細胞の付着・伸展に関する研究(2002年)などでも示唆されています。土台まわりの軟組織が安定すれば、長期的なトラブルのリスクを抑えられるのです。
総入れ歯との違いを正直に比較する
総入れ歯は、保険適用で作れて費用を抑えられる、外科手術が不要、という明確なメリットがあります。全身状態や年齢、ご本人の希望によっては、総入れ歯こそが最良の選択になる場合も当然あります。私は決してインプラントだけを推す立場ではありません。
一方で、総入れ歯には「噛む力が天然歯の2〜3割程度まで落ちる」「歯ぐきで支えるため痛みや違和感が出やすい」「顎の骨が使われず痩せ続ける」といった課題があります。硬いものが食べにくい、話しづらい、外れるのが怖くて人と食事を楽しめない ― こうしたお悩みを長年抱えてきた方が、固定式のインプラントで生活の質を取り戻される様子を、私は現場で何度も見てきました。
全顎インプラントの最大の価値は、入れ歯のように外れず、しっかり噛める固定式であること。そして噛む刺激が骨に伝わり続けるため、骨が痩せにくいことです。費用と手術というハードルはありますが、その先にある「食べる喜び」と「話す自信」を天秤にかけて、じっくり選んでいただきたいと思っています。
中目黒コヤス歯科ならではの全身的アプローチ
中目黒駅近くの当院では、院長である私が歯学博士として、単に歯を入れるだけでなく、その歯が長く安定して機能し続ける環境づくりを重視しています。インプラントは埋めて終わりではなく、その後の骨と歯ぐきの健康維持がすべてを左右するからです。
だからこそ当院では、栄養療法・分子整合医学の視点を取り入れています。骨の再生やコラーゲンの形成、傷の治りには、体内の栄養状態が大きく関わります。実際、術後インプラント材料を扱った研究(2025年)でも、材料まわりでのコラーゲン沈着や組織再生の促進が観察されており、「治る力」を支える身体の土台がいかに大切かがうかがえます。手術の腕だけでなく、患者様ご自身の身体が持つ回復力を高める。この両輪で治療に臨むのが、中目黒コヤス歯科のスタイルです。
骨が少ないと諦めていた方でも、バイコンのショートインプラントと全身的なサポートを組み合わせることで、新しい選択肢が開けることがあります。「中目黒 歯医者」「中目黒 歯科」で治療先を探されている方は、まず現状を正確に把握するところから始めましょう。
よくある質問
全ての歯を失っていても、少ない本数で治療できますか?
はい、可能なケースが多くあります。片顎で4〜6本程度のインプラントを土台に、連結した人工歯を支える設計が一般的です。歯の数と同じ本数を埋める必要はありません。ただし最適な本数は骨の状態や噛み合わせによって変わるため、精密検査のうえで一人ひとり設計します。
骨が痩せていると言われましたが、インプラントは無理でしょうか?
諦めるのはまだ早いです。当院が採用するバイコンはショートインプラントの実績が豊富で、短い設計でも安定性を発揮できるため、骨造成を避けられる可能性が高まります。他院で断られた方も、一度ご相談いただければと思います。
インプラントと総入れ歯、どちらが良いのですか?
一概には言えません。費用や手術の有無を優先するなら総入れ歯、しっかり噛む機能と骨の維持を優先するならインプラントが向いています。ご希望・全身状態・お口の状態を総合的に見て、一緒に納得のいく選択を考えていきましょう。
まとめとご相談のご案内
全顎インプラントは「歯の数だけ埋める」ものではなく、少ない本数でしっかり支える設計が可能です。バイコンのショートインプラントとロッキングテーパー構造は、骨造成の回避やトラブルの少なさという点で、多くの方の力になってきました。総入れ歯と比較しながら、ご自身にとって何が一番大切かをじっくり見極めてください。中目黒駅近くの当院では、精密検査に基づいた本数の目安や費用も含め、丁寧にご説明します。何本必要か不安な方も、他院で断られた方も、まずはお気軽にご相談ください。
中目黒コヤス歯科 院長 小安正洋




