2026.08.30予防歯科

70代から残った歯を守る通い方|中目黒の歯医者が教えるメンテナンス術

「もう70代だし、歯なんて今さら…」そんな諦めの言葉を、診療室でよく耳にします。でも、そのお気持ちを持ちながらも足を運んでくださること自体が、実はとても大きな一歩なんです。今ある歯を1本でも多く、できるだけ長く自分の口の中に残す。70代からのメンテナンスは、若い頃とはまったく別のアプローチが必要になります。ここでは、残った歯を守るための現実的な通い方と、その裏付けについてお話ししていきます。

70代の歯は「守り」のフェーズに入っている

20代や30代の頃は、虫歯ができたら削って詰める、そんな「治す」歯科医療が中心でした。ところが70代になると話が変わってきます。長年使い込んだ歯は、エナメル質がすり減り、歯ぐきが下がって根の部分が露出しているケースがほとんど。この露出した根っこの部分は非常に虫歯になりやすく、しかも進行が早いのです。

私が実際の診療現場で多く見るのは、「痛くないから大丈夫」と思っていた根元の虫歯が、いつの間にか神経近くまで達しているパターンです。加齢とともに痛みを感じにくくなることもあり、発見が遅れがちになります。だからこそ、症状が出る前に見つける「守り」の姿勢が欠かせません。

残っている歯は、隣り合う歯や噛み合わせを支える大切な柱です。1本失うと、その負担が周囲の歯に一気にのしかかります。ドミノ倒しのように連鎖して歯を失っていく方を、私は何人も見てきました。逆に言えば、今ある歯をしっかり守れば、その連鎖を食い止められるということでもあります。

通う頻度は「3か月に1回」を基本に考える

70代の方によくお伝えしているのは、最低でも3か月に1度のメンテナンス通院です。若い方であれば半年に1回でも十分な場合がありますが、シニア世代は歯周病の進行スピードや唾液量の変化を考えると、間隔を詰めた方が安全です。

特に唾液の量は年齢とともに減っていきます。唾液には歯を守る自浄作用や再石灰化を助ける働きがありますから、これが減ると虫歯や歯周病のリスクが跳ね上がります。服用しているお薬の副作用で口が乾く方も多く、こうした背景を把握した上で通院間隔を決めていくことが、当院の考え方です。

3か月ごとの来院では、歯石除去やクリーニングだけでなく、歯ぐきの状態チェック、噛み合わせの確認、入れ歯やブリッジの適合状態まで細かく診ます。前回との比較ができるからこそ、わずかな変化にも気づける。この積み重ねが、10年後の口の中を大きく左右します。

お口の健康は全身の健康とつながっている

歯周病は口の中だけの問題ではありません。慢性的な歯ぐきの炎症は、糖尿病や心疾患、誤嚥性肺炎などと深く関わることが分かってきています。特に70代以降は、飲み込む力の低下から、口の中の細菌が肺に入り込むリスクにも注意が必要です。メンテナンスは、こうした全身の病気を遠ざける入り口でもあるのです。

近年、リン酸の重合体である「ポリリン酸」という物質が注目されています。2018年の研究では、細菌がこのポリリン酸を栄養飢餓から身を守るためのエネルギー源として利用していることが報告されました。細胞がストレス環境下で生き延びる仕組みの一端が、こうした物質の働きで説明されつつあります。

また2024年には、このポリリン酸に関連する物質が皮膚のバリア機能を高める可能性を示す研究も発表されています。細胞の分化を促し、外部から身を守る力を支えるという報告です。歯ぐきや口腔粘膜も、こうした細胞レベルの働きに支えられています。口の中の環境を整えることが、体全体のバリア機能を守ることにつながる。そう考えると、日々のケアの意味合いも変わってくるのではないでしょうか。

自宅ケアと歯科でのケアは両輪で回す

どんなに良いメンテナンスに通っていても、家での毎日のケアが崩れてしまうと効果は半減します。特に70代の方は、握力や指先の動きが以前より落ちてくることがあり、これまで通りの歯ブラシでは磨き残しが増えがちです。

私がよくおすすめするのは、毛先の柔らかい歯ブラシと、歯間ブラシの併用です。歯と歯の間、そして下がった歯ぐきの根元は、普通の歯ブラシでは届きにくい死角になります。ここを丁寧にケアできるかどうかで、虫歯や歯周病のリスクは大きく変わってきます。電動歯ブラシに切り替えることで、力を入れなくてもきれいに磨ける方も少なくありません。

大切なのは、ご自身の口の状態に合った道具と磨き方を知ることです。当院ではメンテナンスのたびに、その方の苦手な部分を一緒に確認し、磨き方のコツをお伝えしています。自宅ケアと歯科でのケア、この両輪が噛み合ったとき、残った歯を守る力は何倍にもなります。

中目黒コヤス歯科のシニア世代への向き合い方

当院院長は歯学博士として、単に歯を診るだけでなく、体全体の健康から口腔を捉える視点を大切にしています。特に力を入れているのが、栄養療法・分子整合医学の考え方を取り入れた全身的アプローチです。歯や歯ぐきをつくる材料は、日々の食事から得られる栄養そのもの。タンパク質やビタミン、ミネラルの状態を含めて、口の中の健康を根本から支えていきます。

万が一歯を失ってしまった場合でも、当院ではバイコンインプラントを採用しています。骨との結合力に優れた設計で、骨の量が減りがちなシニア世代にも選択肢を広げられるのが特徴です。もちろん、まずは今ある歯を守ることが最優先。その上で、必要になったときの備えとして知っておいていただければと思います。

中目黒駅から通いやすい立地で、地域のシニアの方々の「かかりつけ」として長くお付き合いできることを何より大切にしています。中目黒で歯医者をお探しの70代の方に、安心して通い続けていただける場所でありたい。それが私たちの願いです。

よくある質問

70代でも歯周病治療を受ける意味はありますか?

もちろんあります。歯周病の進行を止めることは、残った歯を守るだけでなく、糖尿病や誤嚥性肺炎など全身の病気のリスクを下げることにもつながります。年齢を理由に諦める必要はまったくありません。

入れ歯を使っていてもメンテナンスは必要ですか?

はい、とても大切です。入れ歯を支える残った歯や歯ぐきの状態、入れ歯自体の適合を定期的にチェックすることで、噛む力を長く保てます。合わない入れ歯を使い続けると、支えの歯を早く失う原因にもなります。

痛みがなくても通院した方がいいのでしょうか?

痛みが出てからでは手遅れになるケースが少なくありません。特にシニア世代は痛みを感じにくくなるため、症状が出る前に定期的にチェックすることが、歯を守る最善の方法です。

まとめとご案内

70代からの歯のメンテナンスは、「治す」から「守る」へと発想を切り替えることが第一歩です。3か月に1度の通院を軸に、自宅ケアと歯科でのケアを両輪で回し、全身の健康まで見据えて口の中を整えていく。残った歯は、これからの人生の食事や会話、そして健康寿命を支える大切な財産です。中目黒駅近くの当院では、シニア世代お一人おひとりの状態にじっくり向き合い、長く通える関係づくりを大切にしています。今ある歯を守りたいとお考えの方は、まずはお気軽にご相談ください。

中目黒コヤス歯科 院長 小安正洋

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